ドクターズコラム

眼科の最新の話題、レーシックに関する役立つ知識など、
安心レーシックネットワークの眼科医による
フリーコラムです。

レーシックの美点

医療法人聖明会坪井眼科 坪井俊児

 レーシックが日本へ導入されたのは西暦2000年くらいですので、すでに20年以上が経過しています。この間、新たにICLなどの有水晶体眼内レンズが同じ屈折矯正手術として加わりましたし、もともと矯正視力の改善が目的だった白内障手術も、眼内レンズ(IOL)や周辺機器の進歩とともに、裸眼視力の改善を目指す屈折矯正へとシフトしてきており、現在は目的に応じて手術方法を選択する時代になりました。

 それではレーシックが過去のものになったかというと、そうではありません。現時点におけるレーシックの美点を考えてみます。まず、他の方法とは違って、角膜に対する手術である点があげられます。眼内を触らないことにより、万一感染が生じても眼内炎になる確率が低く、安全性にすぐれています。

 ついで、矯正精度がすぐれています。特に、度数が低ければ低いほど、レーシックの良さが際立ちます。レーシックでは角膜を削るので、度数が強い場合、角膜の変形が大きくなることが矯正精度に関係します。強度近視ではICLを選択することが多くなりました。この点でもっとも不利なのが白内障手術です。白内障手術では術後のIOLの位置のバラツキが屈折誤差に反映されます。目の形から術後のIOLの位置を推定する方法は進歩しつつあるものの、レーシックやICLの場合のような確実性はありません。

 術後の視力回復が早く、合併症が少ないのもレーシックの美点の一つです。角膜に作られたフラップは角膜内皮の排水作用により速やかに接着します。IOLにみられる眼内の炎症は生じません。生体にとっての異物が一切使われないからです。以前問題となったフラップ下の炎症(DLK)も、フラップ作成にフェムトセカンドレーザーが用いられるようになって激減しました。

 このようにいくつもの美点を持つレーシックですが、最近、ちょっとした問題が生じています。エキシマレーザーで使われるヘリウムガスの供給不足です。特にウクライナ戦争、コロナ禍で加速しました。残念ながらこのガスに頼っている限り、エキシマレーザーの未来が安泰とは言えなくなってきました。レーシック類似でありながらフェムトセカンドレーザーのみで行う手術(リレックススマイル)や低度数の有水晶体眼内レンズが今後脚光をあびてくるかもしれません。

2023年8月24日

24時間体制の人々には屈折矯正手術をお勧めします

安藤眼科医院 安藤浩

 みなさんこんにちは。
 現代の屈折矯正手術は一般的にとても質の良い裸眼視力を得られ、多くの人々にお勧めしたい手術です。そんな中で、私が特に屈折矯正手術をお勧めしたい人々がいます。それは、24時間体制の職業の人々、生活中や業務中の活動でコンタクトレンズや眼鏡が汚れたり外れたりすることが多い人々です。心当たりのある人は、屈折矯正手術を受けられると、感動するほどの生活の変化を得られるかと思います。以下にそのような人々の例を述べます。

 ホテル業や工場など24時間近い職場での交代制の勤務の人々は、裸眼視力が上昇すると、どんな時刻に起床しても安定した視力が得られ、快適な生活が手に入るでしょう。
 消防署や医療関係等に務める緊急呼び出しやコールのある人々、臨戦体制を要求される自衛官等の人々は、強さを求められています。裸眼視力が良いことは動物としての強さに直結します。泥や水、激しい動きにも強く(手術方式の相談が必要です)なり、起床と同時にフルスペックで動き出せます。なお、特殊な免許・資格をお持ちの方は屈折矯正手術の免許適応の確認が必要です。
 農業、畜産業や獣医さんなど人間の都合と関係なく何かが起きるかもしれない職業の人々も、いつでも動けること、汚れに強いことが強さに直結します。
 保育士や教師の方々は、日常的にボディコンタクトがあり、突発事項も多い職場に勤めておられます。眼鏡やコンタクトレンズの心配をしなくてすむ生活は、どんな時にも素敵な、安定した笑顔の助けになることでしょう。

 私が手術をしている安藤眼科医院は伊豆箱根地方にあり、観光業を始めとして24時間体制の職業の人々が多く受診されます。屈折矯正手術をうけるか迷いながら、当院にいらした方が上記の職業だった場合には、私は積極的に手術を勧めることが多く、実際に手術後に「とにかく便利になった。素晴らしい。」と本当に喜んでいただける方が多いです。個々の状況に応じて良い未来を手に入れられる人や、条件が合わない人等、いろいろなことが考えられますので、ぜひ安心できる眼科で相談してください。

 2000年代からソフトコンタクトレンズの素材に大革新があり、安全性と装用感が格段に上昇しました。同時期にLASIKもしっかりと技術上昇が続き、高次収差の低下もごく限定的になりました(山村;新しい眼科,2019;36(7):909-910)。「裸眼になれたら嬉しいな」と思ったら、屈折矯正手術を安心して任せられる眼科にまず受診することをおすすめします。しっかりと検査をして眼科学としての裏付けをとり、そして相談してみてください。

2023年1月31日

親子でレーシック!?

岡本眼科クリニック 岡本茂樹

 最近、レーシック希望者が、だんだんとまた増加してきました。その中でも目立つのが、親が子息にレーシックを勧める事例です。日本のレーシックは2000年ごろから本格的に行われるようになりましたが、そのころにレーシックを受けた20代の患者さんも、20年以上たって、ご子息が成人してレーシックの適応年齢に達してきているのです。自分が若い頃にレーシックで近視を克服して、その後の人生にプラスになったので、ぜひ自分の子供の近視もレーシックで治療してほしいと、レーシックを受ける本人より親のほうが熱く語られます。

 いわゆるレーシック難民や角膜感染症の集団発生事件などで、レーシックの負の側面がクローズアップされますが、他方でメガネやコンタクトレンズに頼らないでよくなった近視患者さんにとっては、レーシックはまさに福音で、ぜひ自分の子供にもその治療を受けさせてやりたいという気持ちをかきたてるのでしょう。

 レーシックはこの20年の間に大きく進化しました。エキシマレーザーは眼の動きに対応するアイトラッキングや眼の回旋に対応するトーションエラーコレクションにより、眼の不随意な動きにも正確にレーザー照射ができるようになりました。また一番のトラブルの原因だったフラップ作成もフェムトセカンドレーザーを使用することで、安全に均一のフラップを作成できるようになりました。さらにカスタム照射の導入で、術前の角膜不整を取り除くことができ、術後の見え方の質が大きく向上しています。

 子息のレーシック希望でこられた元レーシック患者の親御さんは、「最近視力が落ちて、老眼がひどくて困っている」というようなことを言われることがあります。50歳を超えると、徐々に白内障が視力に影響を与える年代になります。当院では多焦点眼内レンズ手術も行なっているため、白内障で視力の低下しているレーシック患者さんには積極的に多焦点眼内レンズによる白内障手術を勧めています。レーシックを受けた人は白内障手術で眼内レンズの計算が難しくなると言われていましたが、最近では優れたレンズ度数計算式が登場して、概ね誤差のないレンズ選択が可能になりました。レーシックにより乱視はすでに矯正されているので、むしろ多焦点眼内レンズの手術は容易です。さらにレーシックの利点は、20年経ってもフラップを再度、開けることができるため、そこにエキシマレーザーでの微妙な度数の修正(タッチアップ)が容易にできることです。万一、白内障手術後に眼内レンズ度数の微妙なずれが出ても、レーザーで修正できるのです。これもレーシックを受けた人にとって大きなメリットになると、最近は感じています。

 レーシックは20年以上の進化により、安全で快適な近視治療の選択肢の一つになりました。ご子息が成人されたらレーシックを勧めてみてはいかがですか。

2022年8月1日

より安心で安全なレーシックを目指して!

獨協医科大学病院眼科 伊藤栄

 皆さんこんにちは、栃木県にある獨協医科大学病院眼科の伊藤栄と申します。当院では2010年からレーシックを始めており、2019年から私がレーシック手術を担当しております。大学病院という性質上、レーシックを希望され来院する患者さんは多くありませんが、栃木県でレーシックを行うことができる施設が少ないため、かなりの需要を感じております。レーシックはここ10年以上、手術自体に大きな改変はなく、完成された手術です。当院でも眼科医2名と他科の医師複数名がレーシック手術をし、皆大変満足されております。また、私がレーシック手術を担当してから、レーシックをして後悔した方は1人もいないと思っております。

 現状でも十分素晴らしいテクノロジーですが、より安心で安全なレーシックを日々目指しております。その1つとして、私は術前に角膜生体力学特性を調べる検査を行っております。まだ臨床で完全に汎用されているわけではありませんが、角膜生体力学特性を調べることで、角膜の剛性をある程度評価することができます。大変稀なレーシック合併症の1つとして、医原性角膜拡張症があります。レーシックは角膜を削る手術ですので、角膜を削りすぎて、あまりにも角膜が薄くなると形状を保てなくなります。医原性角膜拡張症を起こさないために、今までは強度近視の適応を狭め、角膜の厚さが十分残るよう手術を計画して行っていました。角膜生体力学特性を調べることで、医原性角膜拡張症のリスクを術前により詳しく調べることができます。つまり、角膜の剛性が弱い方だと、角膜の形状を維持する力が弱く、通常より角膜の厚さを残す必要があると考えられます。円錐角膜という、若い方で角膜の剛性が弱くなり角膜が進行性に拡張していく病気があり、術前に潜在している円錐角膜のリスクをスクリーニングすることも出来ます。

 最近は、ICL(有水晶体眼内レンズ)の効果や安全性も高まり、強度近視の方はICLを受けることが多くなっていると思います。7~8Dを超える強度近視の方や、角膜拡張症リスクの高い方はICLをお勧めしています。角膜生体力学特性を調べることで、さらに安心してレーシックを行える様になる可能性があると考えています。今後も合併症ゼロを目指して、より安心で安全なレーシックを提供できるように、努めて参りたいと思います。

2022年5月16日

価値観が広がる屈折矯正

レイ眼科クリニック 松本玲

 兵庫県神戸市中央区レイ眼科クリニックの松本玲です。
日帰り白内障手術をはじめ、緑内障含む一般保険診療と、レーシックやオルソケラトロジー、眼内コンタクトレンズ(ICL)挿入術などの自費診療を行っています。
 私がレーシックに携わって22年となります。生まれた赤ちゃんが大学を卒業するまでの年月を、レーシックとともに歩んできたことになります。研修医時代には、病気を治すことが第一優先。治療後に「眼鏡をかけて見えていればよし」という意識でした。「自分の目でみる」生活を大切に感じている方々がいることを、22年かけて患者さんから学んでいます。私の眼科医人生の宝です。

 印象に残っている患者さんを紹介します。
 9歳からオルソケラトロジー治療を開始。3か月ごとの検診を真面目に通院し、毎年レンズをリニューアルされました。感染は一度も起こさず、視力は1.0から1.2を維持し、高校球児として活躍。11年間オルソケラトロジーを継続され、20歳になってレーシックを受けました。レーシック後は1.5を獲得し、学童時期に通院した当院を無事卒業されました。術後1年検診のカルテ記載にて「オルソ→レーシック、長く通院をありがとうございました(#^^#)」。このようなカルテ記載ができ、屈折矯正に携わる眼科医冥利につきます。

 オルソケラトロジーから眼内コンタクトレンズ(ICL)挿入術になった方もいます。9歳のときにオルソケラトロジー治療を開始しました。その時すでに-7Dと強度近視でした。12年間レンズ度数の変更はなく、自分の目で0.8~1.2の視力を得ていました。21歳のときにオルソケラトロジー治療を中止され、ICL挿入術を受けました。現在1.5を維持しています。

 スポーツや学業が忙しい時期に、眼鏡やコンタクトレンズを日々手入れし、眼科を受診することは煩わしいですよね。学童にとどまりません。何かと忙しい現代社会において、子育て中の方や社会人にとって、自分の目で見えることは、視力回復にとどまらず、生活の質の向上と時間的な価値を得ていることになります。「見えにくい人は、眼科を受診すればよい」「眼鏡やコンタクトレンズを装用していればよい」という考えは、実に偏った考えだと思います。

 多様性から世界と価値観が広がります。 レーシック医師になった私に眼科治療の多様性と眼科診療の価値観を広げてくれた患者さんたちに感謝しながら、これからも屈折矯正、屈折矯正手術に携わっていきたいです。「自分の目でみる」治療をお考えの方は、安心LASIKネットワーク各施設にまずご相談ください。実績ある施設が快適世界をご提案、ご提供いたします。

2022年3月15日

あなたにベストな近視治療の選び方

先進会眼科 東京 大阪 福岡 岡義隆

 主な近視対策として、メガネ・コンタクトレンズ・オルソケラトロジー・レーシック・ICLがあります。もちろんそれぞれメリット・デメリットがあります。それぞれの「メリット」「デメリット」をご説明いたします。
 是非、あなたにベストマッチの近視治療を選ぶ際の参考にして下さい。

1.メガネ・コンタクト
 皆様ご存じの通りで、まず着け外しが面倒ですよね。メガネだと曇ったりするしコンタクトだとズレたりする事もあります。でも、どこでも簡単に手に入るしメガネだとお洒落も出来ますから、第1選択になるのは当然だと思います。

2.オルソケラトロジー
 夜間にコンタクトを着けて近視矯正をするオルソケラトロジーは、強い近視や乱視には効果が不十分な場合がありますが、子供の近視進行予防に大きな効果がありますので子供の近視にはオルソケラトロジーがイチオシになります。(もちろん大人も使えます。)
 リスクは通常のハードコンタクトレンズと同じですので、定期的に眼科検診を受けて下さい。

3.レーザー近視矯正手術(レーシック・スマイル)
 スポーツやアウトドアを楽しむ方、近視や乱視が強い方、災害時の対策、メガネ・コンタクトの着け外しが面倒な方や職務上の理由でメガネが出来ない方、ドライアイやアレルギーのある方などは、レーシック・スマイルやICLで「近視を治してしまう」という選択が向いていると思います。
 レーシックやスマイルの最大のデメリットは角膜を削る手術である事です。削ったモノは元に戻せませんので信頼できる眼科で手術を受ける事が重要です。また近視が強いほど角膜をたくさん削る必要があるので、軽めの近視の方にレーシックがお勧めになります。

4.ICL
 ICLは眼内にレンズを埋め込む手術で、強い近視や乱視を治すことを得意としています。また術後視力の長期安定性や見え方の質などが良いと言われています。主なデメリットはICLと目のサイズの不一致が起こりうることや費用が比較的高額である事が上げられます。

皆さんのライフスタイルや目の状態に合わせた近視治療を選んでいただく事がよく見える目を安全に手に入れる秘訣です。

2022年1月31日

地方眼科開業医のつぶやき

東海眼科 中井義秀

 今回コラムを書かせて頂きます三重県津市の19床の眼科開業医、中井義秀と申します。私は本会安心LASKネットワークの多くの先生ようなLASIK専門医でなく、網膜硝子体手術、穿孔眼外傷手術に力を入れ、白内障緑内障手術等もしながら、少ない症例ですが屈折矯正手術もしています。今まで続けることが出来たのは坪田先生、戸田先生はじめ本会の先生方のおかげと感謝しています。従いまして読者の皆様のお役に立てることは書けませんが地方の開業医のつぶやきを読んで頂ければ幸いです。

 LASIKは2006年10月日本でも承認され、2008年にはピークの45万件と手術件数が急増しましたが、その後は諸事情で減っています。地方でも例外ではなく当院では2007年10月から始め2011年の年間200件をピークにLASIK件数は減っています。当地の特徴か?受けて頂く方は、病院職員、消防、競艇選手(津市には競艇場があります)、多焦点眼内レンズ後、身内などが多く裾野の広がりは見えません。

 印象に残っている症例を列挙してみます。
①私の心臓疾患心房細動にアブレーション手術をした頂いた循環器専門医師、当時アブレーション出来る医師は三重県では唯一の優秀な先生でした。心臓を直して頂いたのだから粗相のないようにと緊張して手術しまして視力1.2に改善、現在市民病院院長としてご活躍されています。
②姪の手術、経過良好でその宣伝用ビデオに登場してもらい、2年前には娘様の就職にあたり親子2代目の手術を受けて頂きました。今は元気でパソコン作業の仕事をしています。
③多焦点眼内レンズを他院で受け、視力片眼0.8で経過良好と思うのですが、満足されずタッチアップLASIK。矯正量が少ないのもあり狙い通りに回復して感謝されました。多焦点眼内レンズ手術をするには近隣にタッチアップ施設は必要です。
④裸眼視力1.2が必要な競艇選手の試験が受けたい裸眼視力0.3,の18歳、オルソケラトロジーで20歳まで待ってからLASIKをして見事合格される。2022年1月ボートレース出場選手、ピックアップレーサーに顔写真付きで載っています。この方はLASIK費用でお母様からご教示を受けました。参考になればとお聞きした内容を記載しておきます。
 高額療養費制度を受けようとしたのですが無理でした。理由はこの制度は重度な疾患や長期入院が必要な症例に一定の金額が払い戻される制度で、保険適応でないLASIKには該当しません。しかし諦めないで下さい。領収書を残しておいて確定申告して医療費控除が適用されると税金が戻ります。生命保険も適応外ですが、保険会社によっては給付対象になることもあることもありますので 担当の保険会社おばさんにご相談下さい

 最後に、LASIK難民等当県では皆無です。安心して手術をお受け下さい。LASIK専門施設のない地方でも、この手術にご理解、精通した眼科医は多くいます。快適な視力を得るためにご相談があれば安心LASIKネットワークに是非お問い合わせください。

2022年1月5日

LASIKに使われている技術

多根記念眼科病院
ふくおか眼科クリニック
福岡佐知子

 「LASIKは短時間で視力が回復する簡単な手術!」というイメージをお持ちの方が多いと思いますが、実際にはこの手術は複数の高度な技術を駆使して行われています。私が実際にLASIKに携わるようになって感動した凄い技術をいくつかご紹介したいと思います。

虹彩紋理認識システム(Iris Registration)
 これは虹彩の模様を認識して手術に反映させるシステムで、皆様の身近な生活で言えばスマートフォンなどで用いられている指紋認証や顔認証などの生体認証(バイオメトリクス)を応用しているとイメージしてもらえるとわかりやすいと思います。
 手術前の外来で行う検査は座った状態でおこないますが、実際の手術は仰向けになります。その姿勢の違いで眼球は回旋するために、レーザーをそのまま照射すると違う位置に照射することになります。虹彩紋理認識システムは術前検査時と手術時に、それぞれ赤外光カメラで虹彩紋理を認証し、術中にそれらを照合して細かな回旋のずれを補正してくれる技術です。近年ようやく白内障にもこの技術が導入されるようになりましたので、この面ではLASIKが先駆的ですね。

眼球の追従
 LAISKの手術中、「目が動いてしまいそう・・・」と心配されていませんか?
 手術中は目が動かないことが理想ですが、どんな人もかすかに目は動いています。LASIKにはレーザー照射中の目の動きを3次元的に前後・左右・上下に自動的に追尾しながらレーザーを瞳孔中心に正確に照射する技術が搭載されています。この技術は、射撃統制装置やミサイルに内蔵する目標追尾機構が目標をセットし、射距離・方位角・高低角を自動的に追跡するロックオンと同じ技術です。もし目が追尾できないほど大きく動いた場合は、レーザー照射を自動的に停止するセーフティ機能も働いています。「もしかしたら目が動いてしまうかも?」と思っている人にも安心です。

 まだまだご紹介したい技術はたくさんありますが、LASIKはこのような複数の最先端技術を応用することで術後良好な裸眼視力をもたらしています。また、LASIKで私が感動したことは、このような技術面以外にもう一つあります。それは患者様の術後の反応です。術後患者様が裸眼で見えることを、想像をはるかに超えて喜んでくださることに感動しました。日本ではLASIKがマイナスなイメージがつき、減少傾向にありますが、実際に臨床で執刀し患者様の術後を診させていただいていると、やはり素晴らしい手術だと思います。

2021年12月1日

レーシック難民について

吉野眼科クリニック 吉野健一

 未だに,「レーシックは歴史が浅い手術だから不安です」とおっしゃる患者さんがいらっしゃいます.世界で最初のレーシック手術は,1990年ギリシャのPallikaris医師により行われ,その後,安全性と有効性が確認され1995年米国FDAにより,そして日本では2006年厚労省により認可されました.従ってレーシックは,世界的には30年に及ぶ長い歴史のある手術で,問題点はほぼ出つくし,その予防法や解決法も見出され確立された満足度の高い手術となっています.しかしながら,その頻度は極めて低いものの,集団訴訟にまで至る不具合症例がないわけではありません.

 吉野眼科クリニックのホームページでは,「ブログ相談室」と銘打ち患者さんの悩み相談を行なっています.その中にはレーシック術後不具合についての相談も時々あります.本来手術を受けた施設を受診すべきところ,術後のフォローに消極的な一部のレーシック医療機関や,レーシックを専門としない本手術に否定的な眼科医により,行き場のなくなった所謂レーシック難民の方からのご相談です.そこで,そのような方全員にアンケート調査を行い,「レーシックを受けなければよかった」とお答えした患者さんの不具合状況を精査してみると,ある特徴が見出されました.頻度を縦軸に,頻度の高い順に不具合症状を横軸にとった結果を図1に示します.

レーシック難民の3大不具合は,「過矯正(近視を治し過ぎること)」「眼痛」「ドライアイ」となりました.「眼痛」には目の奥が痛みと目の表面の痛みがありますので,前者は「過矯正」,後者は「ドライアイ」に分けることもできます.すなわちレーシック術後の不具合で最も多いものは「過矯正」と「ドライアイ」であるということができます.「ドライアイ」は術後の管理でいずれ解決する場合がほとんどです.それ以下の不具合症状23項目のうち,図1の横軸で赤丸で囲んだ不具合症状16項目(約70%)は,「過矯正」で説明ができる症状で,中にはそれが高じることにより生じる「自律神経失調」症状も含まれています.したがって,レーシック不具合で難民となるほどの不具合は圧倒的に「過矯正」ということができます.PC作業を始め近用作業が多い現代,たとえ老眼前の若い世代であっても,まして老眼年齢に近づく症例においてはなおさら,「過矯正」はあってはならないレーシック合併症といえます.術後の視力の高さをことさらアピールする施設には注意が必要です.ご自分の生活環境や年齢に十分配慮し,目的度数を主治医と十分話し合って決める必要があります.1.5が必ずしも目的裸眼視力ではないことを理解してください.

 最後に,レーシックを専門としない眼科医に本手術に否定的な意見が存在する事実について考えてみたいと思います.否定する眼科医の多くは,レーシックをはじめとした屈折矯正手術自体,そしてその術後のマネージメント術に詳しくないといったことが挙げられます.その1番の理由は,レーシックをはじめとした屈折矯正手術に関する眼科教育が大学医療機関ではほとんど行われていないことがあります.患者さんは,「レーシックなんて受けるからよ!」の一言で見放され,レーシック難民へとなっていくのです.レーシック術後の患者さんの極めて大多数の方はその結果に満足しているという事実があり,そのような方は不具合がないのですから当然一般の眼科を受診することはありません.一方,軽症から図1にお示ししたような極めてわずかに存在する深刻な不具合を呈した患者さんは,藁をも掴む思いで眼科を受診することになります.したがって,一般の眼科医は,レーシック術後に満足した大多数の患者さんを目にする機会は少なく,レーシックの負の部分ばかりを診ることになると言えます.私たちの団体,「安心レーシック」の大事な役割として,患者さんへの啓蒙のみならず,眼科医に対しての正しいレーシック手術の啓発にも力を入れる必要があると最近感じています.

2021年10月7日

私がLASIKを始めたきっかけ

南青山アイクリニック 戸田郁子

 私がレーザー屈折矯正手術を初めて行ったのは、1992年のことでした。当時私は、東京歯科大学市川総合病院眼科に勤務しており、毎日外来でドライアイの患者様の診療にあたっておりました。ドライアイの患者様の多くは、乾燥による症状のためコンタクトレンズ装用が難しく(コンタクトレンズ不耐症)、かといって職業的あるいは美容的など様々な理由で眼鏡も使えないことがあり、とても困っていらっしゃいました。なんとか近視を治せる方法があったら、ドライアイの画期的な治療なのに、、と常々考えておりました。ちょうどそのころ欧米においてエキシマレーザー屈折矯正手術が臨床応用され、海外情報を収集すればするほど「これだ!」と思いました。ただ、もちろん未認可の新しい治療ですし、器械も病院で購入できるわけもなく、興味だけが先走っておりました。そんなある日、千葉県内での眼科医の集まりで、レーザーを個人輸入し導入していたある開業医の先生と知り合い、「どうぞぜひ使ってみてください」という有り難い申し出をいただき、治療を開始させていただくことになりました。
 はじめは病院職員や知人など、コンタクトの不具合で本当に困っている方を対象に開始しました。そのころの技術はPRKで、角膜を表面から直接削る方法で、術後の痛みもあるし、視力回復には1週間かかりましたが、劇的に見えるようになってコンタクトレンズから開放された方々を目の当たりにし、とても感激したことを今でも鮮明に覚えています。とくに、近々結婚式を控えているものの、コンタクトを入れると眼が真っ赤になってしまう、という病院職員の女性は、PRKを受けてバージンロードを裸眼で歩けました!と涙していました。
 その後PRKは改良されLASIKが世界的に広まりました。精度が高く、安全で、長期間の安定性もいい、さらにダウンタイム(痛みや見えなくて生活が制限される術後期間)がほとんどないなどの利点が、これだけポピュラーになった理由と思います。
 裸眼で生活できる便利さ、コンタクトレンズのわずらわしさから開放されるすばらしさ、など、屈折矯正手術は生活の質(QOL)の向上につながり、人生を前向きに過ごすことを後押しすると思います。最初のPRKでの感動体験を、多くの人に広めていきたいという思いで30年近く診療に携わって参りました。一方で、LASIKはすべての視力不良に適応になるわけでなく、ICLなどの他の方法の中から適切な方法を選ぶ必要があること、残念ながら手術が向いていない方も多いことも学びました。今までの経験から、患者様にはLASIKのいい面、悪い面も公平にしっかり伝えることが大切と思っています。
 将来的には、LASIKやICLよりももっとすばらしい屈折矯正手術が開発される可能性はあると思います。また、最近では近視自体にならないような子供の近視進行予防の研究も進んでおり、屈折矯正手術自体がいらなくなる日もくるかもしれません。それまでの間、術後に喜ぶ患者様と一緒に喜び、満足されていない患者様には問題を解決すべく寄り添う、丁寧な診療を続けていきたいと思っています。

2021年7月1日

レーシックを受けて23年が経ちました!

みなとみらいアイクリニック 荒井宏幸

 私がレーシックを受けたのは、1998年6月です。前慶應義塾大学教授の坪田一男先生にレーシック手術を学んでくるように米国のサンタモニカにあるクリニックへ派遣して頂いたのです。当時、日本ではレ-シックを行える施設はほとんどありませんでした。レーシック手術を学んでいくうちに、その最先端の技術が好きになり、日本に戻って患者さんにレーシックを勧める時に、自分が眼鏡をかけていると説得力はないかな、と思いその場で手術をお願いしました。

レーシック手術直後の筆者

 手術の原理や手術後の目の様子を知っていたので、恐さはありませんでした。研修が終わり帰国した時には、まわりの人達がとても驚いていたのを覚えています。自分のクリニックの開業が1ヶ月後に迫っている時に、目の手術をして「何かあったらどうするのか」という心配の声もありましたが、そのリスクはほとんど無いことがわかっていたので「レーシックは安全だから大丈夫です」と説明していました。むしろ自分にとってレーシックを受けるチャンスは、この時期しかありませんでしたので、今ではとても良いタイミングだったように思います。
 それから23年間の快適な裸眼での生活は、いわゆる「プライスレス」です。もう今では裸眼が普通になってしまい、そのありがたさを忘れかけているくらいです。朝起きてすぐに動ける、汗だくでスポーツする、3Dのゴーグルをかける、地震で夜中に飛び起きるなど、考えてみるといろいろな恩恵があることがわかりました。現在は老眼も自覚していて、必要時には老眼鏡をかけていますが、日常的には裸眼のまま生活しています。今の見え方に不満はないからです。
 レーシックに限らず、ICL手術や老眼の多焦点眼内レンズなど、裸眼で生活するための手術を中心に診療をしていますが、今でも感じることは「受けた人にしかわからないプライスレスな感覚」というものがあるという事です。手術というリスクを踏まえて一歩前に進もうとする患者さんに対して、私ができることは、丁寧で正確な手術を完遂することです。そのための研究や工夫をこの23年間続けていますし、これからも継続してゆこうと決心しています。眼科医療の現場でも最新の医療機器が次々に出てきます。しかし機械を扱うのは人間であり、その経験やさじ加減を踏まえて最新の機器を操ることができれば、最善の結果が得られるようになるのではないかと思っています。

2021年6月4日

レーシックを始めて20年

医療法人コスモス会フジモト眼科 藤本可芳子

 2000年 厚労省がレーシックを認可してすぐに手術を始めました。まだ、屈折矯正手術が認知される前で、自費治療がとても珍しかったころです。それまでに近視手術ではRK手術がありましたが、適応以上に切開した場合、角膜に混濁が発生したり遠視化の合併症が報告されており、日本ではとても批判的でした。
 エキシマレーザーで角膜の屈折力を変えて近視や乱視、遠視までも治すという画期的な手術が海外の学会で絶賛され、日本に導入されるのを心待ちに待って始めました。私はずっと裸眼で1.5の視力があり、見えにくい感覚がわからなかったのですが、ある日カラーコンタクトを入れると、度数ゼロにもかかわらず視力が下がりぼやけて見えて、見えない不自由さがわかり、裸眼の視力の質を追求し、見える喜びを提供したいと思いました。
 私の主人や親類、医師や看護師など多くの医療関係者にも手術を行い、皆さん、とても快適に仕事もでき、裸眼で生活できるようになった喜びを感謝してくれています。
 一時、美容系クリニックで不適切な手術が行なわれ、術後視力が出ない患者さんがおられ、集団訴訟になったことで一気にこの手術を希望する方が減りましたが、2020年頃より、当院では患者数が増加しています。ICL手術が注目されたことを機会に、視力回復手術として長い歴史のあるこの手術の安全性や確実性が見直されてきたのだと感じています。
 また、かつてレーシック手術を受けられた患者さんの子供たちが、手術を希望して来院されるようになってきました。この手術のメリットを感じて頂いていること、ご自分の子供たちにも受けさせたいと思っておられることが、とても嬉しく思い、この手術をこれからもしっかりと続けていきたいと強く思っております。

2021年4月15日

ICLかレーシックか?

名古屋アイクリニック 中村友昭

 最近の傾向として、患者様の多くがICLを選択する傾向にあります。
 私がレーシックを始めたのが1999年、ICLは2003年ですが、レーシックが全盛であった10年ほど前は、レーシックが適応にならない高度な近視の方のみにICLをしていました。適応検査時に、レーシックは出来ないのでICLでとお話すると、涙を流される方もおられました。また、ICLのことをご存じでない方も多くおられました。
 それが昨今は、著名人がICLを受けたこともきっかけとなりICLの認知度が高まり、またICLの安全性も高まったこともあり、その適応は拡がり、レーシックが十分可能な軽度や中等度の近視の方もICLを選択されるようになってきました。その多くの方は、費用が高いにも関わらず、角膜を削るのではなく、取り出せば元に戻せるといった安心感から選ばれているようです。
 では、私の患者様へお示しする基準はどうしているかというと、近視の度数でいうと6ディオプターまでの軽度から中度の近視の方であれば、角膜に問題がない限りレーシック(最近ではスマイル)をお薦めしています。レーシックは安全性とともに有効性も高く、強い近視の方でなければとてもよい結果が出ます。また、長期に渡り安定しています。当院へは初期にレーシックを受けられて既に15年以上を経過している方も受診されています。さすがに老眼は出て近くが見えにくくなってきたと言われますが、本当に快適に過ごしていますと言われます。そして、そのような方々のお子様もそろそろレーシック適齢期となり、お子様にも手術を受けさせたいと言われて来られることも多くなりました。ちなみに私の娘も1年半前にスマイルを受けました。軽い近視なので、ICLではなくスマイルを選択し、視力も両眼2.0となり、快適に過ごしております。
 このように、屈折矯正手術のゴールデンスタンダードは、いまだレーシックではないかと考えております。

2020年11月4日

屈折矯正手術(レーシック)とコンタクトレンズと眼鏡、選ぶのはあなたです。

京都府立医大眼科 稗田 牧

 遠く見ていますか!広い視野で遠くまで見てください。

 屈折矯正手術は遠くまで見えた自分の視力を取り戻すイベントです。

 視力を良くするための手段としては、眼鏡やコンタクトレンズと役割は同じです。ただ、手術なので医師に直接施術されなくてはいけません。医師の技量や能力に頼る部分があります。手術というとあまり楽しい気分にはなれません。

 人は生まれたときは「遠視」といって、目が緊張しないとピントがあわない状態です。小学生になると遠視が減って「正視」という、普通にしていても遠くの山までピントがあい、無意識のピント合わせで、あらゆるものにピントがあうようになります。小学校高学年になると「近視」といって、ピントが遠いところにあわなくなります。これは近くばかりみていることによって、「正視」から道をはずれてしまった状態です。どこでもピントがあう正視のままにとどまるのでなく、近くさえ見ておけば良いという習慣が起こした結果です。

 若気の至り、力を過信して使いすぎてしまったのかもしれません。成長期で体全体が大きくなるタイミングで、眼だけが大きくなりすぎてしまうのです。眼は変形して円形から楕円体となり補助具なしには遠くがみえなくなります。

 失った視力を取り戻す!!

 屈折矯正手術によって小学生の自分の視力を取り戻すことができたら、様々な可能性が広がるはずです。眼鏡やコンタクトレンズがうまくいかない人にとって、そのかわりとして屈折矯正手術は存在します。よく考えて、後悔しないように決断してください。

2020年10月12日

~健康のために太陽光を浴びよう!~

慶應義塾大学医学部眼科学教室教授 坪田一男

 コロナ対策でSocial Distanceの重要性が叫ばれ、在宅ワークやリモートによる学習など、ライフスタイルが急変しました。4月~5月の緊急事態宣言下では、Stayhomeの合言葉とともに、みんながお家で過ごす、という異例の事態となり、緊急事態宣言が解除されてからも、お家時間が長くなりがち。そして今度は猛暑の日々。熱中症対策も重要な今日この頃、皆様、いかがお過ごしでしょうか。
 先日、僕が代表を務める近視予防フォーラムで、このコロナ禍での子どもたちのライフスタイルについて調査しました。すると、思った通り、子どもたちの生活が大きく変わっていました。ただでさえ減少傾向であった屋外で過ごす時間がさらに減って、1日平均35分ということがわかりました。1年前の61分と比べても激減しています。
 この状況で、親御さんは子どもたちの健康や視力低下を心配していることもわかりましたが、それは主に、運動不足と、スマホやタブレットを見る時間が長くなったことを心配されているようでした。外に出て太陽光を浴びないことが、近視の大きな要因であるということは、まだまだ知られていないようです。

 世界の近視研究で、1日2時間(1週間で14時間)外で過ごしているこどもは近視になりにくいということがわかっています。近くをたくさん見て、勉強をたくさんすると近視になりやすいのですが、それでも同時に外遊びの時間が長いと、近視になりにくい。近くを見ることよりも、屋外で過ごす影響の方が大きく、それはどうも「太陽光」にある、ということがわかってきたのです。
 僕たち、慶應の近視研究チームは、なぜ屋外で過ごすことが近視予防になるのか、そのカギとなる発見をして2017年に報告しました。太陽光に含まれるバイオレットライトが、近視の予防、近視進行の抑制に関わる遺伝子を活性化することがわかったのです。
 バイオレットライトは、紫外線に近い可視光で、窓ガラスや眼鏡などの紫外線カットとともにほとんど遮断されてしまいます。また、蛍光灯やLEDライトにも含まれていません。つまり、室内ではバイオレットライトがほとんどないのです。窓から陽が入る明るい部屋でも、窓を閉めていたら、バイオレットライトは遮断されてしまいます。
 そのため、世界の近視研究者は、このコロナ禍で、近視がますます増えるだろうと警鐘を鳴らしています。

 太陽光は、近視予防のみならず、免疫力、骨の健康、脳の健康など、大人にも子どもにも必要な光です。学校がお休みの子どもたちの外遊びの時間、太陽光をあびる時間を意識してつくることが重要です。「窓をあけて窓際で過ごす」「庭やベランダに出る」「散歩に出る」を心がけましょう。
 また、メガネを使用されているお子さんには、バイオレットライトを通すレンズがJINSから発売されています。現在、臨床研究の途中ですが、ぜひ試してみてください。

 以前、患者さんや取材の方から「メガネをかけると近視が進む気がします」といわれて、今までは「そんなことないですよ。ちゃんとかけてください」と言っていましたが、このバイオレットライトの発見から、もしかしたら、メガネでバイオレットライトが遮断されて、近視が進むのかもしれない、という考えに変わってきました。まだ、確実なエビデンスはありませんが、これからも研究を進めていきたいと思います。
 また、近視の初期で、黒板を見る時はメガネが必要でも、近くはメガネなしで見えるようであれば、家で読書や勉強をするときはメガネを使わなくてもOKです。そして、ときどき休んで体を動かす。遠くを見る。そして何より、外に出て太陽光をあびる!ことを意識しましょう。

 もう近視になってしまった大人も、それ以上進まないように注意したいものです。レーシックで裸眼になると、近視が進みにくいことが報告されています。日本ではレーシックを受ける方が減っていますが、とてもいい治療だと思っています。ぜひ本ネットワークの施設にご相談ください。

2020年8月26日

老眼世代のLASIK、わたしもLASIKを受けました(^^)

めじろ安田眼科/聖路加国際病院 安田明弘

 みなさんこんにちは。LASIKで使用するエキシマレーザーが2000年1月に国内承認を受けてすでに19年以上が経ちました。日本だけでなくLASIKは全世界的に普及し、これまでに世界で推計約4000万人以上の人たちが手術を受けているそうです。私が屈折矯正手術を始めたのが1996年、これまでに2万件以上のLASIK手術を行い視力回復のお手伝いをしてまいりました。その間もレーザー機器の開発は進み、この10年間はレーザーの性能は最高潮に達していて、LASIKは視力回復手術の主流の方法として定着しています。
 そして私も5年前、46歳の時にLASIKを受けました。理由はコンタクトレンズ中のドライアイです。もともと私はコンタクトレンズで不自由なく仕事も生活もできていたのでLASIKを受けないでいましたが、40歳を超えた頃からコンタクトレンズ装用中のドライアイが辛くなり、ドライアイ治療を行っても短時間しかコンタクトレンズを装用できなくなりました。使い捨てソフトコンタクトレンズを午前診療後にはずして昼休みは眼鏡で過ごし、午後は手術前につけて終わったら捨て、仕事のあとスポーツジムでつけては捨て、1日に両眼で6枚のコンタクトレンズを使い捨てていました。
 コンタクトレンズをつけると老眼も感じていましたが、老眼鏡をかけてでも裸眼で遠くをしっかり見たいと思いLASIKを受けたのです。手術中は期待感でわくわくして、まったく緊張しませんでした。手術は期待以上の結果でドライアイを感じなくなり、仕事やスポーツ、運転、温泉など裸眼でみえていることが楽しく、生活全般がより活動的になりました。
 5年たった今でも1.5見えていますが、覚悟していた老眼もそろそろ限界を感じていますがそれほど苦にならず、老眼鏡はまだ常用していません。
 私がLASIKを受けた2年後の2016年、アメリカの有名医学雑誌に「コンタクトレンズでドライアイの患者さんはLASIKを受けるとドライアイが楽になり、LASIK後の満足度が高かった」という論文が発表されました(Ophthalmology, 123: 1659-66, 2016)。まさに私の経験が科学的にも証明されたのです。
 近視の人は老眼になってもメガネをはずせば手元が見えるので「LASIKを受けると逆に老眼鏡が必要になるので困りますよ」と、ほとんどの眼科の先生は説明すると思います。私も老眼世代の患者さんには必ず同じ説明をしますが、活動的なライフスタイルの人ほど遠くの見え方も重要です。残念ながら老眼を治すLASIKはありませんが、両眼または片眼のみ弱めに治し老眼の負担を減らす工夫をしたり、私のように老眼鏡を使う覚悟で遠くにピッタリ合わせてLASIKを受けるのも一つの選択肢です。
 老眼世代でも、LASIKは生活全般を快適にできる素晴らしい手術だと、自分がLASIKを受けてあらためて感じている今日この頃です。

2019年9月10日

私がレーシック医師を志したきっかけ

医療法人すぎもと眼科理事長 杉本栄一郎

 屈折矯正を専門にして9年目になります、すぎもと眼科の杉本栄一郎です。ごく普通の眼科医だった私が、眼科医11年目にして突如、屈折矯正を志したのか。きっかけはみなとみらいアイクリニックの荒井宏幸先生です。今回はその時の事について書いてみたいと思います。
 広島大学病院とその関連病院でおもに緑内障の臨床、研究に携わった後、10年目の時、すぎもと眼科を開業しました。同時に広島市眼科医会の理事に就任したのですが、広島市眼科医会総会の特別講師として、みなとみらいアイクリニックの荒井宏幸先生をお招きしたのが初めての出会いです。多焦点IOLについての講演の後の飲み会で荒井先生は「本当なら多焦点IOLは術後タッチアップできるレーシック医師が扱うべきなんだけどね」と言われました。レーシックはほとんどの大学病院では学ぶ機会すらないと嘆くと、「杉ちゃんが本気でLASIKをやるなら、僕が責任をもって、すべてを教える」と言われました。初めて会った一介の眼科医に、ここまで言えるものなのかと、感動したことを覚えています。
 すぐに、みなとみらいアイクリニックに見学にいかせていただきました。手術翌日、レーシックをうけた患者さまの見える喜びと笑顔は忘れることができません。それまで正直、「LASIKは美容系クリニックが行っている怪しい手術」という印象しかなかったのですが、荒井先生の臨床を目の当たりにして、屈折矯正は患者さまにとって非常に有益な治療であり、同時に屈折矯正はきちんとした眼科医が正しく行うべき分野だと強く実感しました。
 開業してまだ1年しか経っていませんでしたので、借金がほとんど丸々残っていたのですが、すぐに銀行と相談し、エキシマレーザーのための追加融資をお願いしました。そして荒井先生と同じWF-LASIKであるiLASIKを導入しました。私が初めてLASIKを執刀する時、超多忙の荒井先生はあの時の言葉通り、わざわざ広島まできてくれて、スーパーバイザーを務めてくださいました。無事、LASIKが終わった時、それは一人の眼科医の人生が変わった瞬間でもありました。
 以来、9年間屈折矯正を専門に手術をしてきましたが、充実した眼科医人生を送れていることに、人生を変えてくれた荒井先生に感謝しています。多焦点IOLが先進医療として認められてから急激に普及している今、屈折矯正に興味をもっている先生が増えているかもしれません。そういう先生のお手伝いをしたい。まだまだ未熟でそんな立場には達していませんが、いつの日か、荒井先生に教えていただいたサイエンス・アート・ヒューマニティを、今度は自分が次世代に伝えられる人間になれるよう、精進を続けていきたいと思っています。

2019年5月23日

レーシック手術ができる眼科医はほんの一握り!

医療法人社団インフィニティメディカル八王子友愛眼科理事長 今野公士

 このコラムを読みはじめたあなたは、レーシックに関心を持っていらっしゃる方だと思います。そして、眼科医も皆様のようにレーシックに関心を持ち、知識を持っているとお考えではありませんか。眼科医は結膜炎や白内障などの病気のように、レーシックを熟知しているのでしょうか? 驚くべきことに、答えは“ノー”なのです。さらに、レーシック手術を執刀できる眼科医は全国でも数えるほどしかいないのです。驚きではありませんか? ではどうしてこんなに少ないのでしょうか。それは、眼科は専門分野が多く細分化されていること、またレーシックが自由(自費)診療だからです。 私が勤務していた大学病院は網膜という目の奥の病気が専門の病院でしたので、目の表側の手術であるレーシックはしていませんでした。また保険診療施設でしたので自由診療を学ぶ機会もありませんでした。しかし、眼科医という仕事は近視や乱視の矯正を担当しなければなりません。眼鏡やコンタクトレンズは眼科専門医でなくても医師であればだれでも処方する資格がありますが、レーシック手術は眼科専門医を取得し、眼科臨床医としても十分な経験を積まなければ施術を行うことはできません。私は専門医取得後、幸運にもレーシックを学ぶ機会に恵まれ、多くの経験を積むことができました。その結果、レーシックは適応を正しく選べばほぼ100%満足される安全な手術であることがわかりました。しかし、利益を優先する安易な考えで研鑽を積まずに執刀した心ない一部の医師によって、合併症や後遺症を残した残念な事件も起きてしまいました。このような医師は経験未熟ですから患者さんは集まりませんので、手術料を安価にすることによって症例の獲得をしようとしました。レーシック手術は、設備投資と機械を維持するのにとてもお金がかかります。また、使用する器具も使い捨てのものが多いためコストがかかります。コストがとても高い手術ですので、生半可な気持ちでは事業を継続していくことはできません。レーシックを安価で提供したクリニックは、大切な滅菌消毒などをはぶきコスト削減したため惨事を招きました。レーシック施術にはコストが大変高くかかります。そのため経営的に負担となり、真面目に取り組んできた先生ですら維持が大変でやめてしまうのも事実です。したがって、今もレーシック手術を継続している眼科の施設は、きちんとした経営基盤を備え、安全なレーシックを提供したいと思っている熱意のある先生たちばかりです。 いかがでしょうか。このような経緯からレーシック手術ができる眼科医はほんの一握りなのです。特にこの安心レーシックネットワークに所属している施設は、すべてレーシックに真摯に取り組んでいる施設ばかりですので、文字通り安心してレーシック手術をうけていただけます。あなたも裸眼で生活する快適さを獲得してください。

2018年9月3日

春思

お茶の水・井上眼科クリニック 玉置正一

 先日、外来に手術後10年以上ぶりの患者さんがやってきた。視力は両眼とも1.2で特に問題はなかったのだが、海外に引っ越すのでその前に検診をとのことだった。カルテをみると、懐かしい検査データが並んでいた。LASIKの適応検査では、たくさんの検査が必要である。中でも角膜の手術だから、角膜のデータは非常に重要だ。角膜の厚みも大事だし、角膜の形状も重要だ。ただ、昔の角膜形状解析装置はドライアイや眼表面の影響を受けやすく、判断に迷う症例もままあった。特に角膜後面の解析装置は、雑誌のモデルの撮影かという位、パシャパシャまぶしい光を浴びせて時間もかかった。しかしながら近年の眼科領域における検査機器の進歩には目を見張るものがあり、多彩な前眼部画像診断装置が登場している。それらによって以前よりもはるかにスクリーニングは楽に精密になったし、術後の経過観察にも必須となっている。変わったのは検査機器だけではない。LASIKではまず角膜にフラップと呼ばれるふたのようなものを作り、それをめくってエキシマレーザーを照射していくのだが、以前はフラップを作るのにマイクロケラトームという電動のメスしかなかった。今ではフェムトセカンドレーザーを使ってフラップを作るのが主流になっているし、エキシマレーザーも角膜の形状や収差(眼鏡では矯正できない細かい歪み)に合わせて照射することができるようになって視力の質もあがっている。振り返ってみると、昔から安全性や精度に関して優れていたが、さらに屈折矯正手術も進歩しているのだなと感慨深いものがある。
 その日は、競艇の選手になりたいとLASIKをされた女性も定期検査に来られていた。診察室に入ってくるなり、「先生、合格しました!」と嬉しそうに報告してくれた。はつらつとした彼女の笑顔を見ると、こちらも嬉しくなってくる。こういう時こそ医者冥利につきるというもので、屈折矯正をやっていて良かったと感じる瞬間である。彼女もそうだが、裸眼視力が必要で自分の夢の実現のために10代でLASIKを受ける人も多い。パイロットになるために、競輪の選手になるために、競馬の騎手になるんです、自衛隊に入りたい、夢に向かって進んでいる人はパワーに満ちている。そういった人の夢を手術を通して応援できることはやりがいがあるし、何よりこちらの方がこれからも頑張っていこうという前に進むエネルギーをもらうことができる。
 思えばLASIKは老若男女受けることができる手術なので様々な人達と出会ってきた。「結婚するのでブライダルレーシック希望です」「子育てに眼鏡やコンタクトは大変なので子供が生まれる前に裸眼になりたいです」「海外に行く前にコンタクトから解放されたい」「発達障害のために眼鏡やコンタクトが使えないんです」「地震や災害時裸眼で見えないと困るので」。その他、プロの格闘家やスポーツ選手、新しい趣味や生活のために、等々。いろんな人達の人生の転機に関われることは素敵だし、LASIK手術で+αができると考えると嬉しい。と同時にこれからもLASIK等の屈折矯正手術が適切に理解され、適切に行われ、その満足度がさらに100%に近づくよう研鑽に努めなければと身の引き締まる思いもする。
 東京では例年よりも早く桜が開花した、春光うららかなある日の外来にふと思った話でした。

2018年5月1日

LASIK術後11年 

大塚眼科クリニック 大塚宏之

川崎で開業している大塚です。初めてのコラムなので何を書こうかと思いましたが、私のレーシック経験談にさせていただきます。実は私も近視でしたが、年齢的に老眼が出ることを考えてレーシックは自分には必要ないと思っていたのですが、レーシック後の患者さんの術後満足度がとても高く、あまりにも嬉しそうにしているのを見て、自分も受けたくなってしまったのでした。そして、私にLASIKを教えてくださった上野の吉野眼科の吉野健一先生に執刀をお願いしました。
 術後しばらく、光がにじんだりまぶしく見えるハロー・グレアがありましたが、特に日常生活に支障はありませんでした。今でもメガネ・コンタクトレンズから開放された事に感謝です。私は眼科医で手術もしていましたので、手元の細かい作業が楽にできるように屈折矯正の目標を0.9にしました。なので今でも老眼鏡無しで手術を行っております。ゴルフで間違ってドライバーがあたってしまうと、自分のボールがよく見えないのがちょっと残念ですが、このあたりをよくご相談して年齢やライフスタイルに合った視力の目標設定をすることがとても重要です。
 術後10 年も経つと自分がコンタクトレンズをしていた事を忘れてしまいます。たしかに術前に不安があることはよくわかります。よ~く担当の先生にご相談ください。レーシックはとてもすばらしい手術だと思います。たくさんの近視、乱視の患者様に裸眼視力を感動してもらえると幸です。

2018年4月1日

お問い合わせ 安心LASIKネットワーク事務局

TEL:03-6456-4018

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